モリケイの誰かのための話

24歳の等身大エッセイです。

人生最大のインシデント

 
 
みんなに白い目で見られているようなスッとした感覚。
みんなに置いていかれるようなポツンとした感覚。
それがたまらなく苦手だった。
 
掃除機の音、ドライヤーの音、足音…
どれも気になったことがないのに
だんだんと他人の生活音がとても気になる。
そしてイライラになる。
“こんなに気になったことないのに。”
“なんで気になるのかなあ。”
“うるさいなあ。”
自分にも他人にもイライラ、イライラ。
やり場がなくなって音のしない場所へ逃げる。
 
 
休もうと思って目を瞑る。
頭が痛い。ズキズキする。
だんだんとふわふわする感覚に陥る。
頭がぐるぐるする。
 
 
悪夢、寝汗、動悸。
寝ても寝ても休まらない。寝た気がしない。
親に「離婚して!」と叫ぶ夢。
職場がクビになる夢。
患者の採血がめまいで出来ない夢。
コロナで死ぬ夢。
声が出ない夢。
起きると寝汗と苦しさが残っている。
 
お風呂に入れればいい方。
湯船に浸かると息が切れ、動悸がする。
とても20代とは思えない。
「体力がないのかな。」
 
 
 
これが数ヶ月続けば日常生活に支障が出る。
仕事がうまく熟せなくなる。
看護師なので患者の命を守る職業であるため致命的である。
 
「ああ、なんかやばいかも。集中しなきゃ。」
そうは思うが精神面は叙々に身体的症状に変化する。
 
湿疹が出る。
眠れない。
背中が痛い。
動悸が気になる。
寝汗で起きる。

 

一番は胃瘻増設している患者に薬を経口摂取させてしまった。

患者に酷く怒られた。当たりまえだ。

患者の命を守るべき立場の私が何をしてしまったんだ、と思った。

次に日の出勤は怖くて怖くて仕方なかった。

自分が悪いのはわかっているがどういう風に誠意を表せばいいかわからなかった。

本当に申し訳なかった。

次の日に「昨日は言いすぎたよ。ごめんね。」と言われた。

ミスをしたのは自分なのに謝られてしまった。

 

今でも忘れるはずのない出来事だった。

ナースステーションに号泣しながら報告にに行った。

 

あの日、すごく自信をなくした。

私は看護師に向いていないかもしれない、と。

辞めなければならない、と。

私から“看護師”を無くしたら私には何が残るのだろうと。

 

 

 

 

 

 

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